夏来と四季がファッション誌のモデルのお仕事をしたよSS

タイトルの通りです。

2026-01-17
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 四季の手が夢中でファッション誌のページをめくる。キラキラ目を輝かせている四季のためらいのなさに、夏来の心は追いつかなかった。まだ自分の仕事の成果を見たくないような気持ちすらあったが、後輩の手前、そんな情けないことは言えない。
「あっ! ここっすよ、ほら! ナツキっち見てくださいっす!」
「……!」
 四季が指差したページの中には、カラフルなコーディネートをまとった夏来と四季がいた。雑誌の中の夏来は派手な色のシャツを大胆に重ね着してラフに足を崩してポーズを決めている。自分では絶対に選ばないような服を着ている自分に、今さらながら夏来は冷や汗をかいた。四季の服装もいつも彼が着ているようなカジュアルなものではなく、鮮やかな色のシャツにサスペンダーを合わせたものだ。それでもばっちり普段の四季と同じ表情をして自然体で着こなしている。
「ナツキっち……ハイパーカッコいいし大人っぽくてヤバすぎっす! 本物のモデルさんみたいっす!」
「そ、そう……かな……」
本気で感激している様子の四季の勢いにやっぱり夏来は気持ちがついていかない。
「でもオレだって負けてないつもりっすよ! ナツキっちにもメガおしゃれな服にも負けないつもりで挑んだっす! どうすっか!?」
 夏来の感想を期待する四季の表情は無邪気そのものだったが、それだけに夏来の胸に迫ってきた。その瞳はまっすぐで、どこまでも前しか見ていなかった。
「……すごいな、シキは……」
 夏来は四季に圧倒されつつも、目を見開いてぽつりぽつりと言葉をこぼす。
「俺は……撮影のとき、正直ずっと不安で……なんだか……流されてるうちに終わっちゃってた感じだった……」
「ええっ!? そうだったんすか?」
 四季は本気で驚いた様子で目を丸くする。夏来は話しながら少し胸がちくりとするような気がしたが、ゆっくりと言葉を選びながら想いを伝えた。
「……うん、だから俺は……シキの方こそすごいって思った……写真のポーズも、表情も……本当にカッコよかったし……負けない、って思えるのも……すごい」
「ナツキっち……」
 後輩の素直な視線が少し心に痛かったが、言葉を続ける。
「……だからね、シキ……俺も今度は……負けない、って思えるようになりたい」
 夏来は覚悟したように四季の瞳をまっすぐに見据えた。
「ありがとう、シキ……。シキが負けない、って思ってくれてたの……嬉しかったよ」
「……オレも、ナツキっちに負けないって思ってもらえるの、すっごい嬉しいっす! 大人っぽくて映える表情、絶対にものにして見せるっす!」
「うん……俺も、シキにカッコいい映り方……教えてほしいな」
 ほんの少し前までの弱気だった気持ちはもう思い出せなかった。不安にも、プレッシャーにも負けていられない。そして何より、大切な後輩のまっすぐなまなざしに負けたくないという想いが夏来の内側で熱く燃えていた。

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